AT(オートマチック・トランスミッション)は、エンジンの動力をタイヤに伝える際の
変速比(ギヤ比)を自動的に最適なものにする装置で、現在、乗用車の大多数と大型車の一部で採用されています。
ATにはその構造から幾つかの種類があります。
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1.一般的なAT
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現在多いATは右の図のような、中央にあるサン・ギヤ、内側に歯のあるリング状のインターナル・ギヤ(リング・ギヤ)、
この二つのギヤの間にあるプラネタリ・ピニオンとこれを支持するプラネタリ・キャリヤから構成されるプラネタリ・ギヤを使用したタイプです。
*図には書いてありませんが、インターナル・ギヤにも軸が取付けられています。
普通、ギヤを用いた装置では入力用,出力用のギヤは決まっていますが、このプラネタリ・ギヤでは幾つかのクラッチやブレーキを利用する事で、入力用,出力用及び固定するギヤを切り換えて使用します。
一つのプラネタリ・ギヤで、
増速,
減速,
逆転増速,
逆転減速,
等速の5通りの利用方法があります(必ず全てが利用できるわけではなく、このなかから必要な組合わせを選んで製作されます)。
実際のATでは、このプラネタリ・ギヤを2つ(4速AT)〜3つ(5速AT)組合わせて使用しています。
*なお、この図は「全国自動車整備専門学校協会」出版の教科書に掲載されている図を元にしています。
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2.ベルト式CVT
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数年前から多く採用され始めたのがこのベルト式CVTです。
CVTとはContinuously Variable gear ratio Transmission(無段階変速機)の略で、その名の通り
ギヤ比が最小〜最大まで連続的に変化していきます。
右の図のように、ベルト式CVTは入力用及び出力用の二つのプーリとスチール・ベルトで構成されています。
この図のような装置では、二つのプーリに直径の違うものを使用することで変速が行えます(例:入力側に小さいプーリ、
出力側に大きなプーリを使用すれば減速されます)。
さて、ここで問題があります。
走っている車に搭載されたトランスミッションの中のプーリの直径を変える事は可能でしょうか?
色々な
ギヤ比の
プーリとスチール・ベルトを数多く組み込んでおいて、必要に応じて切り換えて使用すれば可能でしょうが、
装置が大型になりますし、連続にはなりませんよね。
では、ベルト式CVTではどうやっているのでしょう?
それは、プーリ自体の直径ではなく、プーリの有効な直径、
つまりスチール・ベルトと接触する部分での直径を変えているのです。
プーリを中央から左右の二つに分け、間に油圧で動くピストンを入れます。
このピストンに押されたり引かれたりする事で、プーリの幅が変わります。
一方、スチール・ベルトの幅は一定ですから、ベルトは自分自身の幅に合う位置までプーリの上を移動します。
この事によってプーリの直径が変わったのと同じ効果が得られ、プーリの幅を連続的に変化させる事で
ギヤ比も連続的に変化します。
なお、動作については
こちらをご覧下さい。
*なお、この図は「全国自動車整備専門学校協会」出版の教科書に掲載されている図を元にしています。
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3.トロイダル式CVT
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これもCVTで、市販車で採用されている中では最新のATになります。
トロイダルCVTは、入力及び出力軸に繋がる二つのディスクと、
これらの間にある二つのディスク(パワー・ローラと呼ばれている)で構成され、
このパワー・ローラの傾きを変えて入出力のディスクと接触位置を変えることで、
入出力のディスクの有効半径を変化させて変速を行っています。
例えば、パワー・ローラを傾けて入力ディスクでは内周付近に、出力ディスクでは外周付近に接触させれば、
小さなディスクで大きなディスクを回すことになるので(ギヤやプーリと同様に考えて下さい)、減速されます。
このパワー・ローラの傾きを連続的に変化させる事で、
ギヤ比も連続的に変化します。
なお、動作については
こちらをご覧下さい。
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*なお、この図はT.K.氏に作成して頂いたものです。氏のご好意に感謝します。
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4.ホンダマティック
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ホンダマティックとは、以前ホンダが採用していたATで、マニュアル・トランスミッションによく似た構造をしています。
現在使用されているマニュアル・トランスミッションは常時かみ合い式といわれるタイプで、右図のような構造をしています。
常時かみ合い式トランスミッションは、その名の通り全てのギヤ(リバース用のギヤは除く)が常にかみ合った状態にあります。
しかし、これだけでは異なる
ギヤ比を持つ複数のギヤが同時にかみ合ってしまいシャフトが回転できなくなってしまいます。
そこで、図のメーン・シャフト上のギヤをシャフトからフリーにしておき、
ギヤの脇にシャフトとギヤを断続するシンクロ機構を設けて、
シフト・レバーにより選択したギヤとメーン・シャフトを連結するようにしています。
ちなみに、シンクロ機構は、当該ギヤとメーン・シャフトの回転を同期させる役割も持っています。
ホンダマティックでは、このシンクロ機構の替わりに、
油圧により制御される湿式多板クラッチを利用する事でギヤの選択を自動で行えるようにしたものです。
なお、説明に使用した図は
FR用のトランスミッションですが、
ホンダマティックは
FFになっています。
また、現在ホンダではベルト式CVTを用いたATを使用しています。
*なお、この図は「全国自動車整備専門学校協会」出版の教科書に掲載されている図を元にしています。
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5.NAVI5、NAVI7
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NAVI5及びNAVI7は、
いすゞが採用していた“究極の”ATで、NAVI5は乗用車用、NAVI7がトラック用になります。
何が“究極”かと言いますと、このNAVIシリーズは、
普通のマニュアル・トランスミッションを(クラッチまで含めて)コンピュータが制御して変速を行うのです!
この変速用のプログラムはプロ・ドライバーの運転を解析して作成したそうで、
NAVI5は5つのモード、NAVI7は7つのモードがあります。
なかなか面白いATだと思っていたのですが、残念ながらこのNAVIシリーズは、現在使用されていないと思います。
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